テレビをつければ日本の人気番組が流れ、町のあちこちで日本語の書かれた看板が目に付く。若者や日本のアニメやゲーム、ファッションに熱中し、「サムい/超かわいい」という日本の流行語が飛び交い、「日本製」が謳われた商品は飛ぶように売れる。
ほんの数日間滞在した旅行者ですら、すぐにそれと感じられるように、台湾社会における日本文化および日本語の浸透度は驚くほど高く、生活の中にごく自然に「日本」が垣間見える。それは両国の間に歴史的背景から今日の商業・文化活動にいたるまで、途切れない交流の歩みがあったからに他ならない。
1895年〜1945年まで日本の植民地であった台湾では、幼少期に日本教育を受けて、いまだに流暢な日本語を話せるお年寄りたちも多い。中年世代以下はビジネスの必要性から、そしてより若い人たちは前述のファッション志向もあり、日本語を学びたいと考える人が後を断たない。
日本交流基金日本語国際センター(http://www.jpf.go.jp/j/urawa/)の算定によると、2006年現在、台湾で何らかの学習機関において日本語を学ぶ者は約19.1万人とされている。これは人口当たりでいうとおよそ120人に1人の割合となるが、実際の印象ではその他にもさまざま形で日本語に触れ、学ぶ人々は更に多いと感じられる。
日本語を学べる学習機関には、大学や高校のほか、幼稚園、外国語学習塾などがある。
学習機関別に見ると、まず台湾の幼稚園では、もともと外国語学習が盛んな土地柄でもあり、かなり以前から英語教育が普遍的になっているが、最近ではこれに加えて日本語を教えるところも増えてきている。
また、高校でも日本語学科を設置するところが増えてきており、数年前より普通科で選択必須科目となった第二外国語の中では、日本語を選ぶ生徒が圧倒的に多いという。
大学については、ここ数年新設校が相次いでおり、これまで認知されていた日本語研究が盛んな有名校に加え、各地で日本語関連学科を設置する学校が増えきており、現在43校を数える。
こうした状況から、2005年に大学入試に関する法制が改定され大学が独自に試験科目を設定できるようになって以来、日本語を審査項目に加える学校が増えてきたようである。これにより、これまで「日本語は趣味の範囲」、と割り切らざるを得なかったから若い世代も、より具体的な目的を有した長期的日本語学習の機会を得られるようになった。
これら以外に忘れてならないのが、町のあちこちに見られる塾形式の日本語学校(短期補習班)である。台湾ではビジネス上の需要からもともと英語教育が非常に盛んで、いわゆる進学目的の文法偏重教育から抜け出し、より実用的な英会話を教える塾があちこちにあった。
日本語学校についても実際の需要が高まる中、その数を伸ばし続けており、仕事帰りのサラリーマンや学生たちが同じ教室で「あいうえお」を学ぶ姿はあちこちで見かけられる。
こうした状況の一方で、台湾では慢性的な日本語教師不足が続いている。特に最近、急激に増えた大学の日本語関連学科や高校の専任教師では、プロの日本語教師としての知識よりも、学歴や教職免許の有無が重視されるため、本来の日本語教師ではない人たちが教壇に立つことも多い。
また、日本語学校(塾)についても、絶対数の多さから専門知識を有した教師が不足しがちで、ビザ目的のいわゆる「にわか教師」によってその穴を埋めている現状がある。
特にここ数年は日本国内の求人状況が改善していることから、一時期に比べ、あえて海外の日本語教師を目指そうとする若い人たちが減りつつあるような印象もある。
日本で出版され、その後現地で版権を取得し販売されているものが多い。
もっとも有名な初級教材は大新書局の『大家的日本語(みんなの日本語)』で、出版からすでに10年近く経つが、文法項目のよく整理されており、副教材も充実していることから、むしろ教師側から見て扱いやすく汎用性の高い主教材である。そのほかにも『新文化日本語』(大新書局)、また現地機関により独自に編纂された『日本語GO! GO! GO!』(語言訓練測験中心)なども広く利用されている。
また中級以降の教材や、日本語能力試験関連の参考書・問題集はもちろん、日本に関する雑学やファッションなどを織り交ぜたさまざまな日本語関連書籍が豊富にそろっており、現地の注目殿高さを感じさせる。
学校 | 学年 | 年齢 |
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各幼稚園 | 〜満5歳 | |
国民小学校 | 6年制 | 満6歳〜11歳 |
国民中学校 | 3年制 | 満12歳〜14歳 |
高級中学校 | 3年制 | 満15歳〜17歳 |
高級職業学校 | 3年制 | 満15歳〜17歳 |
四年制大学 | 4年制 | |
四年制技術学院 | 4年制 |
台湾では日本と同じく6・3制義務教育を採用しており、義務教育修了者の95%が、日本の高校に当たる高級中学校(普通科系)もしくは高級職業学校(技術系)等に進学する。
高等教育機関には、総合大学と技術学院がある。総合大学は基本四年制だが、専門性の高い学科には特に5年〜7年の学習期間を規定するものもある(医学系7年など)。なお台湾の大学入試は各学校による個別試験ではなく、「聯考」といわれる全国一斉統一試験で、大学のランクにより設定された基準点を超えれば、希望の大学に入学できるシステムである。
上記以外にも、五年制の技術系高校や、日本の専門学校に当たる二年制専科学校などがある。
基本情報 | |
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人口 | 22,983,286人(08年4月末現在) |
面積 | 面積約36.2km²、東西142km、南北377qの小島で、現在台湾(中華民国)政府により実効支配されている周辺の澎湖諸島・金門島・馬祖島などを含めても、国土は日本の10分の1、九州よりやや小さい程度しかない。 |
首都 | 台北 |
通貨・チップ | 新台湾元(New Taiwan Dollar)。通常は「元」の単位を用い、1、5、10、50元コインと、100、200、500、1000、2000元紙幣がある。なお200元と2000元紙幣は2002年に発行されたが、日本の2000円札(2000年)を参考にしたとも言われる。日本と同じように現在では流通量が極端に少なくなっている。 一般的にチップは不要であるが、店員やホテル従業員などに対して、特に謝意を示したいときなどには払う例もある。 |
時差 | 日本−1時間。たとえば、日本が正午12時であれば、台湾は午前11時である。 |
サマータイム | 導入されていない。 |
市内電話 | 公衆電話は携帯電話の普及により、現在ではコンビニエンスストアの前や電話会社の外に残る程度である。 市内通話料金は1.6元/3分。 |
国際電話 | 日本にかけるときは002−81(日本の国番号)−3−1234−5678(東京の場合)と押す。公衆電話を利用する時は、コンビニ等で手に入る200元のテレホンカードでおよそ15分ほど通話可能。 |
携帯電話 | 外国人は居留証を取得しない限り、長期契約およびプリペイド式の申請も不可。短期滞在で携帯電話が必要な場合は、空港のレンタルサービスを利用できる。以下に詳しい。 http://allabout.co.jp/travel/traveltaiwan/closeup/CU20041026A/index.htm |
飲料水 | 台湾の水道水は硬水で、そのまま飲むと体調不良の原因となるため、必ず5分以上煮沸したものを飲用すること。ただし、最近は家庭でも飲料水機や浄水器を利用するのが一般的で、こちらは安心して飲用できる。 |
病院 | 台湾では病院を「○○医院」、開業医は「○○診所」という。台北であれば日本語が通じる医師も多いが、地方都市ではそうもいかないため、ある程度の期間滞在する場合は、事前に最寄の拠点病院を確認しておいたほうがよい。 ホテル滞在者で、万が一急病の場合は、まずフロントに相談するのがよい。 なお風邪の治療程度であれば、一回350元程度である。 |
その他 | 台湾はいい言い方をすると堅苦しくない、悪い言い方をするとルーズなところがある土地柄で、一般の日本人の方がおのずと身につけている社会規範やマナーに沿って行動すれば、特に礼儀や習慣上の違いによるトラブルにない。 一般的にいって、台湾人の日本人に対する印象は大変よく、道に迷ったり、わからない事があったときは、声をかければ大変熱心に対応してくれる。しかし、少数ながら中にはよくない考えを持った人もいるため、夜寂しい場所を一人で歩いたり、安易に知らない人についていったりすることがないよう、気をつけること。 |
ビザ | 日本人が台湾に渡航する場合には90日間のノンビザ滞在が可能となった(08年2月より)ため、インターンシップにおいても最長この期間までこのノンビザ渡航を利用できる。また、日台間には2009年6月よりワーキングホリデービザの協定が結ばれたので、取得条件に合う方はこのビザでも渡航が可能。 |